第六回入江泰𠮷記念写真賞 受賞者IRIE TAIKICHI MEMORIAL PHOTOGRAPHY AWARD

中古 樹「路傍の光」

中古 樹

中古 樹Itsuki CHUKO

1996 茨城県生まれ
2019 日本大学芸術学部写真学科卒業

【受賞】
2018 第66回 ニッコールフォトコンテスト U-31賞
2019 日本大学芸術学部長賞受賞『記憶の里』
2024 風景写真出版主催 前田真三賞 ノミネート『路傍の光』
2025 Nine Gallery主催 第3回 9の穴 グランプリ『路傍の光』

【展示】 
2019  記憶の里
(日本大学江古田校舎/東京都練馬区)
(GALLERY O/東京都台東区)
2022  877(gallery Y/茨城県つくば市)
2023  melt(SPACE K 代官山/東京都渋谷区)

『路傍の光』

飛行機の窓から街を見た。
街は虚構の様に美しく、私の存在さえ希薄に感じた。
私はあの街にあるのだろうか。
途方もない時間と、あらゆる事象が積み重なってこの世界がある。
ほとんど全てはありふれた日常。
ビルの窓一つ一つに、かけがえのない日常がある。
街も里も大地も皆同じはず。
目下の大地は、あり続けるだろう。

アルプスの山小屋が夏の家だった。
恩師から連絡。
「至急返信せよ。」
東京で働いた。
雑踏の人は現れては消える。
東京は河原を歩いている様だった。
私はここにあるのか。

実家に帰省した。
光が特別に見えた。
河原で石拾いをするとき
皆同じような石が
座ると特別に見える様に。

路傍の光を拾う。
その光は、誰かの特別で誰かの日常。
その光は、そこにあった。
写真の中に化石の様にあるから。
河原で拾う石のとなりには別の石がある。
石が無数に集まって地球になる。
地球は無数の星の一つ。
無数の星はそれぞれまたたく。

私は、そこにあったか。
拾った光を標本箱にならべて
聞いてみる。
光があったと言ったなら
拾った私もそこにあるかもしれない。

路傍の光を私の歩幅で拾い集める。

第六回ならPHOTO CONTEST 受賞者NARA PHOTO CONTEST

なら賞

笠井 忠「若草山焼きの日」

日本経済新聞社賞

日岡 弓枝「春呼ぶ」

特別賞

薬丸 冬哉「面会」

入選

安達 康男「犬、猫、鹿。」

岡本 隆雄「光の方へ」

川口 喜美惠「愛」

さとう みゃ翁「駆ける」

澤田 喜代治「廬舎那仏の庭」

下川 翔太「古都の眼」

城田 祥男「早朝」

sinzi_n_wipe「Winter scene 『 The Land 』」

神保 典子「夕暮れの若草山山頂」

高井 啓介「御船の滝の氷瀑(川上村井光)」

高木 悠次「歴史を染める夕暮れ」

タカデアズサ「継手 夏の朝」

谷口 佳子「お手入れは念入りに」

藤 詩絵里「古都の夏を仰ぐ」

西村 充康「予感」

はやしゆき「あそびば」

平内 幸雄「金色(こんじき)のお堂」

本田 和博「厳かな夜明け」

松下 智昭「秋光に抱かれし十三重塔」

宮下 央「祭りのあと」

吉野 恒美「平城京の帳」

Recchia Leonardo「景色」

レモンケーキ「躍動」

綿貫 雄二「雪景色」